
有光教一の『朝鮮考古学七十五年』(昭和堂/2007年2月)を読んだのは、昨年の春先のことであった。もっとも興味深かったのは、考古学者として、当時、植民地にされていた朝鮮半島に渡り、終戦後、日本に帰国するまでの経緯を振り返った前半部分である。同僚が次々に帰国するなか、帰国を許されず、朝鮮の人々に対して文化財の整理・保存や発掘調査のやり方を指南するシーンからは、独立後の朝鮮半島において、有光の存在が如何に大きかったかがうかがえる。一昨年、キョンジュを訪れた折、朝鮮の人々によってはじめて発掘調査がおこなわれたという古墳を見学した。そこにも有光の姿があったようである。そんなことを思い返しながら、本書を読み進めた。
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