2020年12月16日

国立民族博物館特別展『先住民の宝』

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15日までもよおされていた国立民族博物館特別展『先住民の宝』が終了した。その名のとおり、世界各地の先住民族が伝える展示品と彼らが置かれた現状について解説した企画展示である。アボリジニ、オラン・アスリ、タオ、アーディバーシー、マヤ、サン、ソマリ、サーミなどが展示の対象民族となっており、彼らの歩んだ歴史や現状、彼らの抵抗運動などが実際の展示品ともども詳しく説かれていた。まことに見応えのある企画展であった。しかし、残念なのは、アイヌの企画展示にかかわる部分が、他の展示コーナーとは異なり、他の先住民族について詳しく説かれていたような先住民族としての苦難の歴史や現状についての具体的な解説が見当たらなかったことである。展示品の脇に『ゴールデンカムイ』の原画が添えられており、原画を通して彼らの習俗や文化を学ぶことが出来るようにはなっていた。それはそれで良い。しかし、他の先住民族について紹介した部分の充実振りと比較して、この落差はいったい何だろうか。そのせいか、来館者からの質問に対して学芸員が書面で答える質問コーナーでもアイヌに関する質問はむしろ少なく、それ以外の先住民族について紹介したコーナーについての質問が多かった。アイヌの展示コーナーを目当てに訪れた人の質問も、アイヌ以外の先住民族について紹介した展示コーナーにかかわるものであったくらいである。そこでの収穫は、アイヌ文化の称揚を反日勢力による策謀ではないのか、アイヌを先住民族として規定することはおかしいのではないかという無知蒙昧なバカ極右からの質問について―専門家相手に良くもまあ平気でこんなバカげた質問をするものであると恐れ入る―学芸員が具体的な学説などをもちいてあしらっていたことである。バカ極右の質問はさらしものののように左端にまとめて掲示されており、なかなか愉快であった。しかし、こういうバカをあしらうのであれば、アイヌの過去・現在・未来についてもさらに踏み込んで解説しておくべきではなかっただろうか。『ゴールデンカムイ』の原画を添えたからといって、単に羅列的に展示しているだけでは、現在も続くアイヌに対する差別問題さえ顕在化して来ないではないか。いったいどうした、民博!
posted by 乾口達司 at 07:00| 奈良 ☀| Comment(0) | 散策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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