
ドストエフスキーの『悪霊』を読み終えた。30年振りの再読である。細かな部分はすっかり忘れていた。しかし、シャートフが殺害されるシーンは記憶していたままであった。反対にスタブローギンが自殺する場面は思っていたよりもあっさり記述されていた。もっと長々と書かれていたように思っていただけに、拍子抜けであった。キリーロフの自殺するシーンと取り違えて憶えていたのだろうか。以前はそれほど気にならなかった「わたし」の存在がいやに生々しく感じられたのも収穫であった。スタブローギンの告白に対する「どのように偉大な告白でも、その外形には何かこっけいなところがふくまれておるものです」というチーホン僧正の台詞も印象深い。まったくそのとおりである。私自身、最近、そのことをあらためて痛感した。スタブローギンに対するチーホン僧正のこの切り返しこそドストエフスキーの世界の真骨頂である。
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