
山田鴻一郎編『奈良製墨文化史―奈良製墨協同組合設立50周年記念』によると、奈良の墨職人による労働争議が起こったのは、1934年の秋。同年1月、山野製墨所の職人8名が「捏ねまい賃」を奈良市製墨職工組合の規定に準じて上げて欲しいと業主側に要求するものの、受け入れられないことに業を煮やしてストライキに入ったのが、そもそもの発端である。このときは安井鶴松の仲介によって妥協がはかられるが、11月になって製墨作業が本格化すると、今度は職工組合が従来の賃金協定を守らず、ずるずると賃金の値下げをおこなって来た業主組合に対して、賃金の2割値上げを要求。漢国町の「山の寺」に立てこもり、要求の貫徹を訴える。彼らの立てこもったところこそ、「山の寺」の別名を持つ念仏寺である。墨職人たちの立てこもったところがお寺であったという点、いかにも奈良らしいというべきか。
【関連する記事】
- 野呂重雄『喪失―哲学のソナタ249章』
- 杉浦圭祐『異地』
- 有光教一『朝鮮考古学七十五年』
- R・M・アルベレス『現代小説の歴史』
- 林采成『飲食朝鮮― 帝国の中の「食」経済史』
- ドストエフスキー『悪霊』
- ホ・ヨンソン著・姜信子+趙倫子訳『海女たち』
- 山田鴻一郎編『奈良製墨文化史―奈良製墨協同組合設立50周年記念』C
- 山田鴻一郎編『奈良製墨文化史―奈良製墨協同組合設立50周年記念』B
- 三島由紀夫『潮騒』
- 山田鴻一郎編『奈良製墨文化史―奈良製墨協同組合設立50周年記念』@
- 長尾武『水都大阪を襲った津波』
- 橋澤裕子『朝鮮女性運動と日本』
- ボリス・グロイス『全体芸術様式スターリン』
- 『日野日出志全仕事』
- 西郷信綱『古代人と夢』
- 李亀烈著・南永昌訳『失われた朝鮮文化−日本侵略下の韓国文化財秘話』
- ダイヤモンド社刊『地球の歩き方-釜山 慶州』
- JTBパブリッシング『ひとり歩きの会話集E韓国語』
- 房賢嬉+用松美穂『あっという間に読めちゃうハングル』