
実家におもむいた折、久しぶりに読み返したのは、西谷大の『食は異なもの味なもの』(財団法人歴史民俗博物館振興会/2001年刊)である。食を通した日中文化論としてもなかなか面白い。なかでも、ケッサクなのは「臭豆腐」をめぐる巻末の一節である。他者の発見による自己発見こそ旅の醍醐味であるというならば、この著者は食を通してまさしく旅の本質をつかんでいる。しかし、「発酵が進み、すでに青緑色をしてどろどろしている」臭豆腐とはいったいどのようなものか。見てみたい気もするが、見たくないという気持ちも強い。お化け屋敷に入る心理だろうか。「青」や「緑」はやはり食欲を刺激しないのか。
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