2014年03月30日

後藤明生をめぐる旅(福岡篇・H氏と)

出発の朝、奈良はひどい雨だった。新大阪駅から新幹線に乗り込む。新幹線が西に向かうなか、雨は降ったり、やんだりを繰り返した。九州に入ってまず気づいたのは、すでに桜が咲きはじめていたことである。五分咲きくらいのものもあった。博多駅から在来線に乗り換え、香椎駅で下車。後藤明生の弟に当たるH氏と合流した。H氏の車でまず案内されたのは、H氏のご自宅だった。ご自宅でH氏や後藤明生の父親=規矩次氏および曽祖父=徳次郎氏の写真を拝見する。写真の規矩次氏は軍服姿であった。『行き帰り』(中央公論社/昭52・7)のなかで「父の最後の写真は、陸軍歩兵中尉の軍装だった。軍帽を目深くかぶり、椅子に腰をおろして軍刀を突いていた。昭和十九年、最後の応召のときの写真である」と書かれているものである。写真をきっかけにして、H氏からは規矩次氏や徳次郎氏のこと、後藤明生との関わりについてお話をうかがった。H氏は後藤明生のことを「兄貴」と呼んでいた。もちろん、弟であるH氏が後藤明生のことを「兄貴」と呼ぶのは当然である。しかし、私にはひどく新鮮に聞こえた。(続く)
posted by 乾口達司 at 22:03| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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