2013年05月10日

松田道雄『私は赤ちゃん』

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先日、知人に子どもが生まれた。そのお祝いで自宅を訪問した折、私は松田道雄の『私は赤ちゃん』(岩波新書/1960・3)を読んでみるように彼女に勧めた。もちろん、『私が赤ちゃん』を勧めたのは、それがはじめて我が子を持つことになった親に対して育児の秘訣を説いたものであるからである。しかし、それだけではない。夏目漱石の『我輩は猫である』を意識して綴られているのであろうか。「私」=赤ちゃんの目を通して描かれる物語世界がユーモアたっぷりに描かれており、読み物としても無類の面白さを有した作品であるからこそ、是非、彼女に読んでもらいたいと思ったのである。ここでは「私」の目を通しておせっかいな近所のおばさんなどの他者=外界が批評されている。しかし、「私」の眼差しはちょっとしたことですぐにうろたえる「私」の両親や「私」自身にも向けられている。その眼差しはまことに平等であり、それがつい真似をしたくなる独特のモノローグ的文体ともども、本作の魅力を高める要因となっている。今回、久し振りに読み返した。そして、以前と変わらず魅了された。
ラベル:松田道雄
posted by 乾口達司 at 21:43| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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