2012年06月29日

後藤明生『この人を見よ』刊行予定。

来月、後藤明生の『この人を見よ』が幻戯書房から刊行される。『この人を見よ』は「海燕」誌上に1990年1月号から1993年4月号まで計39回にわたって連載された未完の大作である。完結をみなかった原因としては、1993年4月、後藤明生が、当時、勤務していた近畿大学文芸学部の学部長に就任し、校務で多忙をきわめたことが挙げられる。当時は大学院文芸学研究科の開設準備も進行しており、小説を執筆しているだけの時間的な余裕がなかったのである。本人は校務が落ち着いた後に執筆を再開する心積もりであった。そのことは私も直接うかがったことがある。小説である以上、確かにどこで終わっても別に構わない。しかし、中断したところはあまりに中途半端な個所であり、中断するにしてももう少し書き加えてからの方が良いと思っている。そんな話であった。しかし、結局、執筆は再開されないまま、1999年8月2日、後藤明生はこの世を去る。その後、私は後藤明生の遺稿集の刊行を志し、2004年、『日本近代文学との戦い』(柳原出版)の刊行にこぎつけた。しかし、『この人を見よ』はあまりに分量が多く『日本近代文学との戦い』のなかに収録することが叶わなかった。後藤明生が亡くなってから13年の歳月が流れている。今年はご存命ならば生誕80年の記念すべき年にも当たる。そのような年に『この人を見よ』の単行本化が果たされることは悦ばしい限りである。今日は担当の編集者氏ともお話をさせていただいた。編集者氏の話をうかがい、その熱意に感服した次第である。
ラベル:後藤明生
posted by 乾口達司 at 22:50| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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