2011年07月29日

入江泰吉記念奈良市写真美術館館編『昭和の奈良大和路―入江泰吉の原風景』

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入江泰吉記念奈良市写真美術館館編『昭和の奈良大和路―入江泰吉の原風景』(光村推古書院/2011年8月)は入江泰吉記念奈良市写真美術館館で購入した。当館で9月25日までもよおされている「入江泰吉 大和の暮らし―昭和20年〜30年代―」と題された展覧会に合わせて企画・出版された写真集である。入江泰吉によって撮影された昭和20年代から昭和30年代にかけての奈良の風景写真が多数収録されている。展覧会に出展されている写真と重複するものもある。出展されていない写真も収録されている。現在、新大宮駅の途中から地下にもぐり込んでしまう近鉄奈良線が、当時、路上を走っていたことを知るものはいまではもう少ないだろう。般若寺の本堂が選挙の投票所として使われている様子を撮影した一枚は貴重である。「興福寺境内」(p39)や「若草山麓」(p45)も印象深い。娯楽に乏しかった当時、奈良公園や若草山に出掛けることも充分なレクリエーションであったようである。興福寺の境内や若草山に茣蓙を敷き、三々五々、酒を呑んだり、歓談したりする人たちでゴッタ返している光景もいまでは考えられないものである。しかも、あたりにはゴミが散乱しており、実に汚い。小野十三郎も『詩論』のなかで若草山に散乱するゴミの様子に言及していたように思う。しかし、その様子を実際に目の当たりにしたのは今回がはじめてである。隣国の人々はゴミを平気で路上に捨てる。マナーの悪い民族である。そういって隣国を批判する言説は多い。しかし、この写真を見れば、数十年前までは日本人も隣国の人々とまったく同じレベルにあったことを思い知らされる。その他、わが家の掛かりつけの医院が写り込んでいる写真もある。遠くに実家そのものが写り込んでいるものもある。いまでも変わらぬのは子どもたちの表情である。その無邪気な表情には魅了される。微笑ましい光景である。
ラベル:写真 入江泰吉
posted by 乾口達司 at 22:16| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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