


広陵町からの帰り道、慈光院(大和郡山市小泉町865)にも立ち寄った。久し振りの慈光院である。先日、仕事で片桐半右衛門や片桐且元に代表される片桐一族について調べる必要があった。その関係もあって慈光院に立ち寄ったのである。いうまでもなく、慈光院は大和小泉藩の藩主であった片桐貞昌(石州)が且元の弟に当たる父・貞隆の菩提を弔うために建立した寺院である。見所は茶室と回遊式の庭園(写真)である。特に庭園は素晴らしい。京都とは異なり、奈良には名の知られた庭園は少ない。その少ない庭園のなかにあって慈光院の庭園は随一の素晴らしさを誇っている。そういっても過言ではない。ツツジをはじめとする木々によって形作られた大刈込が見事である。奈良盆地を借景としたところも巧みである。いまでは借景のなかに近代的な建物が入り込んでしまう。しかし、それはそれで現代的で良いと思う。茅葺屋根の書院ものどかさを演出している。手水鉢では「角ばらずの手水鉢」(写真)に注目したい。手水鉢の四方の角をわざと切り取って「角ばらず」と名づける洒落っ気もさることながら、その構造の単純さがかえって存在感を引き立たせている。当寺の山門に当たる茨木門から書院へと続く石畳(写真)にも惹かれた。いつか雪化粧をしたときの情景を眺めてみたいものである。
ラベル:庭