2009年12月21日

笠の餅

先日、法事(四十九日)で珍しいものを見た。“笠の餅”である。法事は浄土宗の僧侶によって営まれた。読経の後、“笠の餅”が用意される。48個の小さな丸餅の上に大きな笠型の餅がそれらに覆いかぶさるように乗せられる。そして、その上に小さな丸餅1個がちょこんと乗っている。僧侶が笠の部分をキッチンバサミで切り分けてゆく。切り分けた部位を組み合わせて人の形に仕上げる。完成後、笠の下に置かれていた48個の丸餅と人型は切り分けられて参列者に配られる。腰の悪い人は腰の部分を、腕の調子が良くない人は腕の部分を、といったようにそれぞれの身体の良くない部分を持ち帰って食べる。そうするとそれぞれの部位が良くなるといわれている。最後に残った傘の上の丸餅は屋根に向かって放り投げる。それはやがて鳥によって啄ばまれたり、どこかへ運ばれたりするのだろう。“笠の餅”の存在は民俗学関係の書物で読んで知っていた。しかし、実際に自分の目で見たのはこれがはじめてである。人型はあの世へと旅立つ死者の姿を表しているそうである。その人型=死者を食べるという行為には穢れを払うという意味が込められているのであろう。読経のときは神妙な顔で控えていた参列者も僧侶が“笠の餅”を切り分けるときだけは好奇心丸出しでその作業を覗き込んでいた。餅は持ち帰っておすましで食べた。
ラベル: 法事
posted by 乾口達司 at 22:02| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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