2009年02月24日

あのー/そのー/そりゃあ/うーん/えーと

近頃は忙しくて新聞をじっくり読んでいる時間がない。たいていのニュースはウェブ上にアップされた記事で確認している。経済問題しかり。政治問題しかり。そのことに関して気になるのは政治家に対するインタビューにしばしば見られるメディアの奇妙な文体についてである。私は支持率の低迷が続く内閣総理大臣の発言を頻繁にウェブ上で確認している。総理大臣の発言はくだらない。わざわざ口元をひん曲げて喋っているのである。もう少し気のきいたことがいえないのか。ユーモアあふれる弁舌を駆使することが出来ないのか。そう思うことが多い。しかし、この際、そんなことはどうでも良い。私が気になるのは、近頃、総理大臣の発言を一字一句そのまま活字化しようとしている記事が矢鱈と目立つことである。そこでは総理大臣の「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」といった言葉にならぬ言葉までもが正確に活字化されている。総理大臣の発言を、一字一句、聞き漏らすまいとする記者の執念が感じられるといえなくもない。その言葉を正確に伝えようとする心掛けも立派であると思う。しかし、そうはいうものの、果たして「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」までわざわざ活字化する必要があるのだろうか。私には「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」といった言葉にならぬ言葉までも活字化しようとするメディアの意図やその意義をまったく理解することが出来ない。それはむしろ自分の文章を綴ることを放棄した記者の怠慢の表れに過ぎないのではなかろうか。総理大臣の発言を出来るだけ正確に伝えようとするのであれば、いっそのこと、それを動画で配信すれば良いだけのことなのではなかろうか。「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」といった言葉にならぬ言葉までもわざわざ活字化する方法が以前から存在したのか、私には記憶がない。総理大臣の「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」といった言葉がちりばめられた記事はいわゆる「ぶら下がり」と呼ばれる取材を活字化したものに頻繁に見られる。「ぶら下がり」とは、通常の記者会見とは異なり、記者が取材の対象者を取りかこんでおこなう取材のことを意味している。思えば「ぶら下がり」という呼び名も随分ばかげたものである。「ぶら下がり」の名に値するものといえば、ぶら下がり健康器具をおいて他にはないではないか。「ぶら下がり」という名のばかげた取材名称と「あのー」や「そのー」や「そりゃあ」や「うーん」や「えーと」といった言葉がちりばめられたばかげた取材記事。総理大臣が間抜けならば、その言葉を、一字一句、活字化しようとするメディアも相当ばかげている。全員一列に並んでぶら下がり健康器具にでもぶら下がっていろといっておきたい。
posted by 乾口達司 at 21:28| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 想い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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