2009年01月14日

細見古香庵『根来の美』

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細見古香庵の『土器に花』(昭和46年5月、浪速社刊)を紹介したのは2008年11月5日の日記だった。今回は『根来の美』(昭和42年2月、浪速社刊)である。題名のとおり、古香庵の所蔵する根来塗りの名品を紹介した一冊である。永万元年(1165)の年記銘文のある「黒円形反華高杯」から元禄のあたりまで製作されたとされる吉野絵根来盆の「葛文様吉野盆」まで計65点が写真と解説付きで紹介されている。経年による結果であろう。それぞれの写真を見ると、器の多くは表面にほどこされた朱漆が剥落し、下地の黒漆がところどころ顔を覗かせている。「永仁六年十月」の年記銘文のある伝・東大寺所蔵「日の丸盆」のように朱と黒とが入り交じって独特の色彩を放っているものも多い。赤と黒とのあざやかなコントラスト。それが実に美しい。自然の剥げは根来が人の手によって繰り返し使われて来たことの証である。当時の人々の息遣いを感じさせてくれる名品の数々である。
ラベル:根来塗
posted by 乾口達司 at 22:23| 奈良 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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