2008年11月20日

冬の到来。

急に寒くなったせいだろうか。私のまわりでは死人が続出している。ストレッチャーに乗せられた遺体が自宅に帰ってゆく場面を目撃したのは昨日の早朝だった。たまたま前夜から実家に帰っていた。時刻は午前7時過ぎだった。何気なく台所の窓を開けたときのことである。喪服に身を包んだ2人の男性が自宅の裏の砂利道を歩いている姿が目に飛び込んで来た。2人はストレッチャーを前後から挟むようにしてゆっくり歩いていた。小声で何かを囁きあっている。ストレッチャーには真っ白いシートがかけられていた。人が横たわっているような盛り上がりが見える。喪服姿の男性たちが誰かの遺体を運んでいることはすぐにわかった。朝の光が彼らを包み込んでいた。私は不思議な気分に襲われた。まるで夢を見ているような気分だった。ストレッチャーはやがて喪服姿の男たちに引かれて民家の向こうに消えていった。砂利道を進む足音だけがしばらく聞こえていた。しかし、その足音もやがて聞こえなくなった。あれはいったい誰の遺体だったのであろうか。私がいつまでもぼんやり窓の外を眺めていた。すると、突然、電話が鳴り響いた。母が受話器をとった。遠縁の老女が亡くなったという。電話はそのことを知らせるためのものだった。享年101。大往生だったらしい。祖母が自分の部屋からのそのそと起き出して来た。母が老女の死を祖母に告げた。私は先ほど目にした光景を話した。それからが大変だった。祖母は急に元気になってあちらこちらに電話をかけはじめた。そして、遠縁の老女の死が老衰であったこと、葬式が金曜日にとりおこなわれることなどの情報を入手した。私が目撃した遺体は祖母と同年齢の女性だった。昨日の昼頃、食事中に倒れて救急車で病院に運ばれていったという。祖母はその情報も間もなく入手した。寒さでぶるぶる震えていた先ほどまでの祖母とは大違いである。早くもお悔やみに出掛ける準備まではじめていた。冬の到来によって死にいたるものがいる。その一方でとたんに元気になるものもいる。人それぞれである。
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posted by 乾口達司 at 23:57| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 想い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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