2012年12月11日

後藤明生を読む会(第13回)

後藤明生を読む会(第12回)→こちら

昨日は後藤明生を読む会の第13回がもよおされた。今回は趣向を変えて年末恒例の文学散歩および忘年会をもよおした。文学散歩のコースとして選んだのは後藤明生『しんとく問答』(講談社)ゆかりの森ノ宮・大阪城周辺である。午後2時、JR森ノ宮駅に有志が集合して「マーラーの夜」「十七枚の写真」「大阪城ワッソ」などで言及されたスポットをめぐった。しかし、作品の発表から20年近くが経過している。当然、時代の移り変わりを痛感するところも多かった。たとえば、「マーラーの夜」に登場した「レストランG」はすでに消滅していた。読み手に不気味な印象を与える聖マリア大聖堂の鐘も同様である。教会の関係者に取材したところ、阪神大震災で鐘楼が被災し、現在ではもう鐘を鳴らすことはなくなったとのことであった。「私のマンションの真裏すなわち北側に、そして難波宮跡公園の東隣に並んで」いた「市営住宅」の一群も一掃されていた。代わりに更地となった敷地の一角には新たに高層マンションが出現していた。もちろん、すべてのものが変わり果てたわけではない。なかでも、難波宮跡公園を根城にしている「大阪のディオゲネス」が健在であったことは感慨深かった。今回の大きな収穫は聖マリア大聖堂の内部に立ち入ることを許されたことである。内部の広大さもさることながら、ステンドグラスや堂本印象の筆による巨大な絵画、同じく巨大なパイプオルガンには圧倒された。大阪城公園を経由して京橋へ出た後は『この人を見よ』で描かれた「温泉マーク」と「ボンビキ氏」を探して風俗街を彷徨った。しかし、作中で言及されていた「戦後風俗史に残る、いまでは歴史的記号ともいうべき」「温泉マーク」を発見することは出来なかった。忘年会は京橋で挙行した。次回は通常の勉強会に戻る。来年1月、『めぐり逢い』をテキストにして話し合う予定である。
ラベル:後藤明生
posted by 乾口達司 at 23:26| 奈良 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする