2011年11月06日

岡山紀行(岡山県立博物館特別展『法然上人と岡山』)

所用で写真を撮影してもらうことになっている。そのこともあって岡山に滞在中である。ついでに岡山県立博物館で13日まで開催されている特別展『法然上人と岡山』を観覧して来た。もっとも興味を持ったのは弘法寺の被仏である。総高は2メートル半ほど。鎌倉時代に作られた阿弥陀如来立像である。注目したいのは、胎内が空洞化しており、下部(脚部)から人間が頭を差し込んですっぽり被るようになっていることである。毎年5月5日、弘法寺でもよおされる踟供養の折、実際に人間が被って観衆の前に姿を現すという。胎内に入り込む人間の頭部は仏像の腹部あたりに位置するようになっているようである。その証拠に腹部には横線のような隙間が見える。ここがなかに入る人間が外部の様子をうかがうための覗き穴になるようだ。しかし、最初から人間が被ることを目的にして作られたものであるのならば、もう少し人間の身長にあわせて作るはずである。したがって、本来は被ることを目的としては作られていなかったのではあるまいか。上部と裳裾部とを分離させた上下二部式像(裳裾部を台状にしてそこに上部をはめこんだ構造)が一般的に現れて来るのは室町時代以降のことである。岡山県内でも南区阿津の宝積院・阿弥陀如立像にその構造が見られる。弘法寺の被仏も本来は二部式像として一般的なまつられ方をしていたものが、何らかの理由で裳裾部が失われる一方、上部が行道用の被仏として転用されることになったのではなかろうか。このように仏像を被るという風習が全国的に見られるのかどうか。実に興味深い。近い将来、実際に踟供養の現場で被仏のお姿を拝見したいと思っている。その他、文殊菩薩の神像版である摩賀多神社の文殊大明神坐像も珍しかった。
ラベル:仏像
posted by 乾口達司 at 21:52| 奈良 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする