2010年07月17日

三島由紀夫『奔馬』1

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三島由紀夫の『奔馬』を読み返した。数日前のことである。『奔馬』をはじめて読んだのは中学3年のとき。確か卒業式を間近に控えた頃ではなかっただろうか。『豊饒の海』の第2巻として、第1巻である『春の雪』の後を受けて読んだのであった。それ以来、一度も読み返してはいない。しかし、それは『奔馬』にだけ限らない。三島由紀夫の小説すべてに対して当てはまる。なぜ読み返さないのか。理由は明瞭である。私が三島由紀夫の良き理解者ではないからだ。社会人になってから読み返したのは『近代能楽集』だけである。『近代能楽集』を読んで思ったのは、三島由紀夫という作家は、劇作家としてはきわめて優秀な人物であるということだった。『近代能楽集』は日本の近代戯曲を代表する名作であると思う。しかし、『奔馬』に限らず、小説はいずれも凡庸である。高級な通俗小説。そういっていいかも知れない。少なくとも私の考えている小説とは対極に位置するような代物である。その思いは現在にいたるまで変わっていない。

『奔馬』を読み返したのにはわけがある。『奔馬』のなかに三輪山(奈良県桜井市)が登場するからである。先日、今年になって三度目の三輪山入山登拝をおこなった。そういったいきさつもあり、一度、三島由紀夫が三輪山をどのように描いているのかを確かめたくなったのである。私が読み返したのは三輪山とそれを御神体として祀る大神神社が登場する「四」と「五」に限られている。それ以外の箇所には目を向けていない。したがって、これから綴ることは『奔馬』全体の物語とは関係がない。作品の価値とも無縁である。さいわい、書架には中学時代に購入した『奔馬』の文庫本が他の作品と一緒に残されていた。昭和52年8月30日発行・昭和61年1月30日17刷の新潮文庫版。「四」と「五」は文庫本の25頁から44頁にかけて収められていた。(続く)

三島由紀夫『奔馬』2→こちら
三島由紀夫『奔馬』3→こちら
三島由紀夫『奔馬』4→こちら
posted by 乾口達司 at 23:58| 奈良 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする